この季節に思うこと
お休みの日の午後に、この文を書いている。
リビングのソファに、どっしりと腰を下ろして、
行儀悪く、机の上に足を投げ出している。
網戸の外からは、無数の鳥の高い鳴き声が聴こえて、
時々 車やバイクの通る音がする。
それ以外はこの部屋になんの音もない。
スマートフォンもサイレントにしてある。
秋晴れが続いていたが、今日は午後から空が真っ白だった。
寒暖差で、木々の葉が、黄色やオレンジ、赤、茶色に徐々に染まっていくのを見ると、この季節が好きだなと、ふと思う。
今月、誕生日を迎える私は、この季節が特に好きだ。
無条件に、知り合いや友人、恋人から、愛されているのだと知ることが出来る日。
こちらが何か言わなくても、祝福の言葉をかけてくれる。
一人の夜はいつも寂しくて、時々情緒が安定せずに苦しくなる日もあるけれど、この日ばかりは なんだか幸福な気持ちで眠りにつくことができる。
でも、誕生日を祝ってもらうことが幸せだと、いつまで感じられるのだろうか。
祝ってくれている友人も、家庭を持つようになったり、仕事に忙殺されるような時期が迫っている。
お互いに、年々忙しくなっていくだろう。
そうしたら、誕生日もいつか忘れてしまうものなのだろうか。
私もいつか、忘れてしまうのだろうか。
そうして、この先どんどん生きていって、
「もうお祝いしてもらうような歳じゃないから」
と照れたような、苦笑いをする時が来るのだろうか。
誕生日を祝ってもらうことはもちろん、お祝いすることも好きだ。
どんなに歳を重ねても、大切な人の誕生日には
「おめでとう」
を伝えたいと思う。
歳を取れば取るほど、直接、目を見て伝えていきたい。
私自身も、そうやって大切に思ってもらえるような、大人になっていきたいと思う。
国が違うが、フランスでは逆に、
自分の誕生日に、周りの人に感謝を伝えたり、プレゼントを贈ったりするのだと言う。
いつだったか、PSPのゲームをしていた時に覚えたことだ。(おそらく、中学生か高校生の頃だったと思う)
私は、
「祝ってもらいたい」
ばかりではなく、
「今の自分がいるのは、あなたたちのおかげ」
と感謝の気持ちを伝える、
このことを忘れずに、心の中にずっと覚えておくつもりでいる。