カレンダー
トイレに貼り直した、月の満ち欠けカレンダー2020を見ると、ふと思い出す。
友達のプレゼント選びをするのが好き。
友達の好きなものはどれか、どのデザインが一番似合うか、今欲しいものはあるのか、
考えているだけでわくわくするし、寝ずに何時間でも調べていられる。
調べた中で、"これ欲しい"と私自身も思ったものがあった。好き香りをカスタマイズできるフレグランス。(カタログギフトのような感じのシステムだった)
香りのするものをプレゼントするのは結構勇気がいる。
好みかどうかもあるし、以前好きだった香りも時間が経つと好きじゃなくなったりする。
なので、自分の好きな香りを選べるのは、とても魅力的なことに思えた。
それからもネットで色々調べたけれど、結局そのフレグランスを買うことにした。
店舗に行くと、目当て以外にもいろんなものが置いてある。
オーガニックのコスメ、綺麗なパッケージの数々。清楚なお姉さんがちらほら、商品を整理している。
店内を何周かして"この店舗にあのフレグランスは無いのかも"と焦る中、隅っこの小さなコーナーに見慣れたパッケージが見えた。
ネットで見て欲しいと思った、あのフレグランスだった。
木のアクセサリー立てみたいなのに、ぶらさがっていた。
嬉々としてレジへ向かい、会計、ラッピングをお願いする。
レジを打っている同年代のお姉さんは、新人なのだろうか。
柔らかい雰囲気の方だった。
手つきがまだ少し、たどたどしい感じがする。
丁寧にラッピングの資材見本を見せてくれる。
その丁寧さもなんだか嬉しくて、関係ない話をしたくなってしまう。
"これネットで見て、すごく欲しかったんです"
"自分用にも欲しいくらい"
"え、ここのラッピングすごくかわいいですね!"
ふとレジ後ろに、
濃紺のA4サイズの厚紙が見えて、
ところどころ金色に光っている。
宇宙や月のデザインみたいだ。
"後ろのそれ、宇宙柄ですか?"
会話のひとつとして、訊ねる。
あと私は単純に、星や宇宙が好きだった。
どうやら、5000円以上購入すると貰える来年のカレンダーらしい。
フレグランスだけでは、少し足りなかった。
どうされますか?と聞かれたけれど、
カレンダーのために何か買うには、もったいないように思えて、
他には特に買わない旨を伝える。
すごくタイプなデザインだったので、結構迷った。
「お包みするので、店内で少々お待ち下さい」
店内はもう何周かしていたが、レジ付近のコーナーの一角を見て待つ。
レジをしてくれたお姉さんは、上司のようなお姉さんに何か尋ねている。
ラッピングの仕方等だろうか。
早く綺麗に包むのって、きっとすごく難しいんだろうなと思う。
しばらくして、包み終わったことを告げられレジに向かう。
「このようにお包みしましたが、いかがですか」
有料のラッピングは、お姉さんの手によってより可愛くなっていた。
ありがとうございますと伝えると、
「よろしければ、こちらも」
レジの後ろにあった、濃紺のカレンダーだった。
「通常はお渡しできないんですが、大丈夫とのことでしたので」
私がこんなことを言うのも何だけれど、
一枚のノベルティの為に、わざわざ上司に了承を得てくれたのか、と思った。
この人の為に、って純粋に行動できるのは、初心を忘れずに働いているからだろう。
なんて素敵なことをしていただけたのだろうと思った。
たった一枚のA4サイズの厚紙だけど、
プレゼントと同じくらい、嬉しかった。
寝室に貼っていたカレンダーは先日 剥がれ落ちてしまったが、
マスキングテープをしなおしてトイレに貼った。
もらったノベルティは、普段そんなに大事じゃない。
でもそのカレンダーは特別な気がした。
トイレに入ってすぐ、私と同じ目線にあるカレンダー。
今日もキラキラしてた。