ななぶんのいち

つよく 素直に生きたい。

冬の帰り道の話

まっくすぐで人通りも少ない夜の道で、

一人、縦に流れた暗い雲を見上げながら帰る時

なにを思うのだろう。

 

 

冬の日には、心が空しくなると決まっている。私の中で。

それは隣に決まった相手がいないこともあるだろうし、この時間に限って返事が1通も来ないLINEのせいでもあると思う。だけどそれらがあったとしても、私たちの心のどこかには空しさが居ると思う。

少し重めのチェスターコートと首にぐるっとマフラーを一周させて、寒さ対策はバッチリなはずだった。し、実際に私より厚着の人はまだ見受けられなかった。

左右のポケットにそれぞれ手を突っ込んで、上を見上げながら帰った。今日は概ね晴れていた。雲もあったけど、星はまだ綺麗に見えた。ただ上を見上げると首に巻いたマフラーが浮き、そこにすきま風が入り込んでいた。

これ以上寒くなるなんて考えられない、と考えていた。それよりこの淋しく帰る一人の時間が嫌だと思ったし、近くで急にガタガタと音を立てた看板は私を脅かすからそれもすごく嫌だと思った。

 

最後の曲がり角を曲がるくらいで、唐突にやっぱり人から愛されたい、と思った。人から求められたいし私も素直に求めてみたいと思った。

結局の所、人に依存しているのだと思う。その温度や声や、一時的に感じられる愛に。それを一度知ってしまったらきっと離れられなくなる。その後の空洞の大きさに耐えられなくなる。

大好きな人からの それ ならもう言うこともない。けどこの際誰でもいい、と思った。誰よりも大事に私を思ってくれたらいい。一時だとしても、また渇くと知っていても、愛されたいと思った。それほどその温度に飢えていた。

雲間から見える少し欠けた月が眩しかった。

 

 

帰り道には決まって、後ろから刺されたらどうしよう、と思ってます。映画の見過ぎか。こういう被害妄想が多いです。

でもいざそうなっても後悔しないくらい今日を生きたかなと振り返るようにもしています。大抵そんなにやり残した事とか未練はないので、まあいいなと思ってしまう。

帰り道、特に冬、こういう時 人はなにを思っているのだろうと思います。