ななぶんのいち

つよく 素直に生きたい。

同窓会

とても寒い冬の夜に、同窓会があった。

冷たい風が吹き、肩をすぼめて友人と2人大通りの裏の少し細い路地を歩いていた。

約束の時間を2分過ぎて、全員が集合した。

 

みんなが集まる場が好きか嫌いかと言われれば賑やかで好きだし、得意か苦手かで訊ねられたら苦手である。その人の話のもっと深い部分を聞きたいと思ってもなかなか聞けないし、伝えたい事もいつもの半分くらいになってしまっている気がする。気の知れた級友だからということもあるだろうが、大人数でいるとついつい他の人の気持ちまで考えずに発言をしてしまう事があると感じる。あ、絶対今の嫌だったよな、とか、自分も言わなきゃよかったとか。楽しいのは好きだけど、自分が強い者になったようなその空気感は今も昔も苦手のままだ。あと、仲の良いグループで固まるのも疎外感を感じてしまう。この人たちにとって自分は蚊帳の外なのだとひしひし実感する。なら何故ここにいるのだろう、この時間家で何が出来ただろう、普段見ないインスタでも見よう、となる。

その同窓会の中でも私が一番信頼を置いている友達がいる。他の誰にも言っていないことでもその人には言っていた。私はあまり自分の事を相手に伝えたくないので、よし言おうと思えるまでにも一苦労である。

その人も私に信頼を置いてくれていると思っていた。し、実際今も少しはそうだと思う。ただ、その人もグループの中の一人なので、一番信頼している所では、私の事を言うかもしれない、と蚊帳の外で勝手に不安に思ってしまった。

 

結局は、女性社会にのまれているのである。友達のあの子があの子と仲良くするのが嫌、と駄々を捏ねているだけなのである。大切にしたい人は態度や関わり方も、きっと分かりやすいくらいに大切だよと伝えている。本当に数人しかいないので、私にとってはかけがえのない人である。一番に思っているのは私だと自信を持って言える。ただ、相手はそこまでではなかったという話だ。よくある勘違い。相手にとっても一番なのだと何で証明できよう。勘違い甚だしい。そして恥ずかしい。

大切だと思っている人にはいつも、一方的で伝わらない。届かない。そして今日また誰にも言えない事が増え、日に日に少しずつ募っていく。一人で抱え込むには重すぎていつか壊れてしまいそうだけど、こんな恥ずかしい話を伝えるくらいなら俄然出家の道を選ぶ。

 

何も無くなった空っぽの私の頭上でも、冬の澄んだ空気でオリオン座がキラキラ輝いていた。